私ども三軒茶屋病院では、昨年4月にコロナ病棟を立ち上げ、何とか地域の役に立ちたいと頑張って参りましたが、この度遂に院内クラスターが発生してしまいました。多くの患者様やご家族様をはじめ、地域の皆様に多大なるご迷惑とご心配をお掛けしてしまい心より申し訳なく思っております。お詫び申し上げます。

 今回のクラスターはコロナ病棟からの拡散ではなく、始まりはA6病棟でした。1/19 A6スタッフの1人が体調不良を訴え、抗原検査を行ったところ陽性が判明しました。濃厚接触者の洗い出しをしている中、倦怠感や体の痛みを訴える職員が数名出現し、1/20-21A6病棟の患者様、スタッフ全員に症状のある方は抗原検査、抗原検査で陽性を除く全件にPCR検査を施行したところ患者様5名、病棟スタッフ16名の陽性が判明しました。A6病棟は5F,6F2フロアに分かれていますが、陽性の患者様は6Fフロアに限局しており、その後何度も検査をくりかえしましたが5Fフロアに陽性者は発生しておりません。

 病棟の陽性患者様5名のうち2名が血液透析患者様、1名が腹膜透析の患者様でした。血液透析の患者様は、院内の透析室に出向いて透析を受け、終了後ご自分の病室に戻られるため、透析室が他病棟に感染を拡める場になっている可能性があると考え、1/22 院内の透析患者様全員にPCR検査を行ったところA8病棟の透析患者様3名が陽性であることが分かりました。7F,8Fフロアにまたがり部屋がばらけていたため、A8病棟の患者様全員とスタッフ全員にPCR検査を拡大し1/25までに全件終了し、透析患者様の3名に加え患者様16名、スタッフ7名が陽性でした。さらに療養病棟であるB(B3,B5,B7病棟)に検査を拡げ、患者様、スタッフ全員、また院内全体で医局、コメディカルも検査を行いました。B館の患者様、スタッフ、医師、コメディカルスタッフ、透析室スタッフいずれも全員陰性でした。

 現在、A6病棟は患者様については最初のスクリーニングで発見された患者様以降陽性者は発生しておりません。スタッフは体調不良で自宅療養していたもののなかなか検査で確定診断がつかず1/29にやっと陽性が判明したスタッフを最後に発生しておりません。少しずつ隔離が解除され、休んでいたスタッフも徐々に戻ってきているところです。
 一方、A8病棟はスクリーニングを行った時点で患者様に19名の陽性者が発生していたこと、透析の陽性だった患者様の部屋がばらばらだったことから、そこを中心に感染が拡がりをみせ2/1時点で患者様39名、スタッフ11名という大きなクラスターとなってしまいました。陽性の患者様が発生してから、ゾーニング、部屋ごとの感染対策を強め、検査を繰り返し、陽性者を隔離するということを行い、何とか感染拡大を食い止めようと努力いたしましたが、力が及びませんでした。新型コロナウィルスの感染力の強さ、入院されている患者様方はご高齢で寝たきりの免疫力が低下している方が多かったこと、ケアや処置が多く業務の中でスタッフと患者様が濃厚接触する場面が多くあることなど、リスクになる部分は多々ありますが、A8病棟の感染拡大については非常に重く受け止めており今後分析をし日頃の業務改善、感染対策のさらなる徹底に努めて参る所存です。

 今は少しでも早く通常の業務を取り戻せるよう、地域での役割を果たせるよう、職員一丸となって取り組んでいるところです。完全な収束にはもう少し時間がかかりますが、残されたスタッフで昼も夜もなく懸命に努力しておりますので、もう少しお見守り下さいますようお願い申し上げます。

 第一波の時から、コロナに立ち向かおう、頑張ろう、と職員を鼓舞して参りました。色々なことを我慢して緊張感の中頑張っている姿に、コロナが落ちついたら少し休ませてあげたい、と思っていましたが 結局第2波、第3波とずっと頑張らせ続けてしまいました。疲労も緊張も限界だったのかと職員の皆様にも本当に申し訳なく思っています。今回のクラスター発生でどんどん働ける人数が減っていく中、協力し合って頑張って下さっている皆様に心から感謝しています。無事収束を迎えられましたら、改めて謙虚な気持ちで地域医療に尽力していきたいと思います。

                                        
三軒茶屋病院院長

                                          
大坪 由里子